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テレビの悪行①~プロレスを三流の八百長ショーに堕落させた~

テレビとプロレスが両輪となり拮抗する蜜月時代を築いていた時代はそれぞれの長所を増幅させお互いが繁栄したが、それは決して長くは続かず、諸刃の剣となって自らの肉を喰い破る凶器と変容するものでもあった。

力道山が輸入したプロレス。シャープ兄弟を招聘した昭和29年当時は、まだ敗戦の傷跡が癒えぬニッポンで戦勝国アメリカの優位性を誇示する「進んだ文化」への憧憬は強く、加えて体力差は視覚に直接訴えるだけに圧倒的、強烈であった。

そこへ小兵(176㎝)が紅毛碧眼の大男を空手チョップでなぎ倒すサマは敗戦コンプレックスに落ち込んでいたニッポン人のカタルシスであった。その姿を全国に伝えたのが三種の神器の1つテレビの登場であった。

当時のテレビはアメリカ製の17インチテレビが25万円。サラリーマンの手取り月収が1万5千円の時代だから、まさに高嶺の花。国民は街頭テレビに群がり力道山の一挙手一投足に拍手喝采を贈り熱狂、たちまち日本のヒーローの座を掌中に収めた。

池田勇人首相の「所得倍増計画」の旗印の下、日本経済は高度成長の波にのり、日本は豊かさを求めて日進月歩の躍進を続け、テレビ、洗濯機、冷蔵庫の三種の神器も家庭に普及し、時代は白黒からカラーの時代へ進化しようとしていた。

昭和38年5月24日、東京体育館で行われたWWA世界選手権・ザ・デストロイヤー戦は平均視聴率で実に64.0%を記録、これは今日においても歴代視聴率4位にランクされものである。プロレスは国技の大相撲を凌駕する国民的人気スポーツ(ショー)に成長していた。

力道山の勇姿を茶の間で見る時代となり、テレビとの密接な蜜月関係はここに一つの頂点を迎えたと言っていいだろう。テレビの普及に貢献し、テレビを利用しプロレス人気を全国規模に浸透させた力道山。氏の最大の手腕で長けていた点はテレビを上手く利用はしても利用されることは決してなかったことではないだろうか。主導権は常に力道山が握っていたのである。

そのパイオニアが没し、日本プロレスは豊登騒動(東京プロレス設立)はあったものの、馬場・猪木の働きもあり、興行収益は力道山存命時を上回る隆盛を誇り、テレビ視聴率も30%をキープする人気番組、いや日本テレビの看板番組の位置を占めるほどであった。

プロレス中継の存在は日本テレビにとっては強みで各地の地方局を傘下に収める強力な武器であったのである。スポンサーである大久保謙社長(後に会長)の三菱電機と日本テレビ、日本プロレスのトライアングルは鉄の三角形とも呼ばれ、何人も付け入る隙がないとまで言われる強固なスクラムを組んでいた。

その難攻不落の要塞を浸食し蝕んでいったのも皮肉にもテレビの魔力であった。映画を駆逐し娯楽の王様のポストを手中にしたテレビは一方で、熾烈な視聴率競争の最前線で立ち向かわなければならない状況下を迎えていた。今尚続く苛烈な視聴率戦争。数字の高低に一喜一憂し、悪ければディレクターの首も簡単に飛ぶ世界である。ネコが見ていても数字が良ければ出世街道を駆け上ることができる世界である。

吉原功の国際プロレス誕生の背景にも裏で糸を引いていたのはTBSであった。プロレスが高視聴率を稼ぐドル箱番組と捉え、各地方局のプロレス放送を望む突き上げも厳しかったという。参入のチャンスを窺っていたところに舞い込んできたのが国際プロレスであったわけである。

それからの日本プロレス界の動きはご承知の方も多いと思う。拙稿は歴史語るものではなく、その方面の興味がある方は他の研究者に当たって欲しいと思う。ネット上ではウィキペディアが偏向記事が多く、書き手も不明、レベルがバラバラで信用できない面も多々あるが、大まかなガイドラインを得るにはいいツール。その程度のもの、と知って活用すればいいと思う。不確かなことは何冊かの自分が信頼する文献をあたることが肝要であろう。

日本テレビの独占放送が瓦解しNET(朝日)テレビが参画し出した頃からが凋落の始まりである。猪木のクーデター失敗で日プロを追放され、間もなく馬場も日本テレビと用意周到に絵図を描き独立。日プロの惨状に見切りを付けたNETは坂口征二を抱き込み猪木の新日に鞍替えを決行。既にテレビ局の資金力(放映権料)を当てにしなければ団体運営も立ちゆかなくなっていたのである。テレビ局の意向で無理もまかり通る強欲な支配者の顔が露骨に現れて来たのであった。

日プロ時代、視聴率アップには猪木用シングルの冠タイトルが必要と考えたNETはお手盛りでユナイテッド・ナショナルのインチキベルトを急造した。そのタイトルは建前的には日プロの所有物。NWAのギャング連中に一説には3万ドルとも5万ドルとも言われた大金を上納したと噂されたNET。スポンサーとしての主張も強行できた一面もあっただろうが、やはり表沙汰に出来る話ではない。一時はそのまま新日本に持ち逃げを考えたようであるが、猪木にしろ坂口にしろ日プロのリングでレフリーも日プロでは半殺しを嘯くセメント日本一の大木金太郎相手には分がないと判断、ユナイテッド・ナショナルタイトルを置いて出て行った過去の事情があった。

そこでNETが画策し買い上げたのがNWFという半ば休眠していた弱小独立団体のタイトルであった。その前にはカール・ゴッチ所有のベルトを引っ張り出したりしたがストーリーが続かず尻切れトンボという反省もあったようだ。並行して一方の馬場も日テレの肝いりでPWFなる団体をデッチあげそのチャンピオンに収まるという無節操なデタラメ振りをファンに晒し白けさせた。この頃、プロレスはすっかりテレビ主導のヤラセ番組の延長と変わらない体たらく振りであった。

レスラーがカネに目が眩んだのは事実であろう。しかしその背景にはスポーツでない八百長ショーのプロレスなら何でも自由にやりたい放題というテレビ局側の見下した一面があったのは否めない。ここが似非格闘技ショーの悲しいかな、弱点である。考えてみればプロレスそれ自体がテレビが得意とする壮大な「ヤラセ」そのものだったという声も聞かれるところだ。

相撲でもボクシングでも簡単に取っ替え引っ替えチャンピオンや横綱を作ったり出来るはずもない。それが可能なのがエンターテイメントショーの法則か。何でもデタラメが罷り通るジャンルだけに、それを律するのが自我の抑制だけであった。だが、欲に溺れ皆が独立しお山の大将に居座った結果が今日の惨状の証左であろう。視聴率が稼げないプロレスはテレビ局にとってお荷物なだけで、即お払い箱である。レスラーはタレントと同じように使い捨てのコマの1つに成り下がったとも言える。



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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

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紹介文:門茂男主宰のユニオン元会員で、同氏には長年に渡りご交誼を賜った。ライフワークであった「ザ・プロレス365」の未発表を含む取材メモを見せて頂き、その要点を再構成した「門茂男メモ」と数名のプロレス記者から入手した情報をベースに記した昭和プロレスのテーマに迫ります。
ミスター高橋の「流血~」本で白日の下に暴かれたプロレスの実像ですが、単なる暴露もので終わるのではなく、門氏が追及したレスラーの人間性にまで同じように迫りたいという思いです。

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シンタロー

Author:シンタロー
プロレスのテレビ初観戦は小学生前の幼少期に祖父宅で見た力道山プロレス。その当時、一番印象に残っている試合は降参しないと足が折れると技の恐ろしさを足4の字固めで教えてくれたザ・デストロイヤーや、吸血鬼を連想させる噛みつきで相手を出血させるレスラーの怖さを知らしめたフレッド・ブラッシーよりも、幼心にはコミカルな妙技で笑い転げたミゼット・レスラーとのタッグマッチであった。それは祖母が馳走してくれた三ツ矢サイダーの味と共に脳裏に刻まれている。放送日の詳しいことは不明だが、昭和35年8月にミゼット・レスラー(名前は不詳)初来日の記録がある。テレビ観戦がその時期のどの試合であったかは今となっては調べようもないのが残念である。
一般総合雑誌・書籍編集者として多数のプロレスや格闘技関係の企画立案に参画し、馬場、猪木、大山倍達、木村政彦を始め多くのレスラーや格闘家を取材。プロレス界のご意見番・門茂男氏とは編集ジャーナリストの大先輩として長年に渡り公私ともども御交誼を賜った。お会いする度に未整理、未発表の「ザ・プロレス365」のラフ原稿を見せて頂き、同時に門氏が口頭で語った様々なある事件の真相や噂(裏付けが未確認)を氏の了解を得てノートにまとめ「門メモ」として所有する元ユニオン会員。

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