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元レスラーがタニマチに語ったオフレコ懺悔録②~日本も正式にカミングアウトすべきだ~

団体の代表に進言したことがあります。ショーとスポーツの違いを知らない素人ファンがまだいる以上、WWEのようにきちんとマスコミを通じて声明を発表すべきだとね。WWEは対株主への法律で作成・公開が義務付けられた半期ごとの業務及び財産の状況に関する説明資料を開示、その告知も義務と定められていますからプロレスをショーとアナウンスしたという話を聞いています。

株主の不利益にならないように全てを包み隠さずにディスクロージャー(情報公開)をしないと法的に罰せられてブタ箱行きになるそうです。それで公式にプロレスは勝ち役負け役というのはブロードウェイのミュージカルの配役と同じで観客を楽しませるエンターテイメントショーであると発表したわけですよね。その舞台裏を映画でも公開しましたが、それでどうなりました?

観客は増え利益もアップ。株主も大喜びですよね。日本のプロレス団体も大半は株式会社といっても非上場でワンオーナーの私物でしょう。社会保険や補償の類はほとんどありません。怪我でもしたら一巻の終わりですよ。

もし一部上場の株式会社になれば事業計画から決算報告と厳しい会計検査のチェックが入ります。情報開示は世の流れです。その過程で事業内容は勝ち負けが決まったエンターテイメントショーと株主に説明責任が求められますよ。それを勝ち負けは時の運で決まるショーと虚偽報告をしたら解任は勿論、ヘタしたら米国と同じく背任行為で多額の賠償責任、刑務所行きだって考えられますね。

ギャラも不景気で安いまま。全力ファイトはプロである以上、当然なんでしょうが、それが出来ずファンに申し訳ないような情けないような複雑な心境です。エンターテイメント・ショーの基本はお客様に満足してもらうことです。

ところがファンというものは十人十色千差万別です。会場の全員を楽しませることは本当に難しいですよ。ファイト時間が長ければ良いというわけでもないし、短時間もダメです。5分以上15分以内という約束がありますが、それが全てではありません。試合時間よりもその満足の背景には勝ち役負け役の納得性が不可欠なんですよ。

効いてもいない技を効いた振りをしてフォールされるのが基本ですが、それは裏を返せば観客が効いたと納得(錯覚)させればOKです。そのためにはやはり日頃の体力トレーニングと技のタイミング習得修練はプロとして基本です。

試合の流れが止まったり片方がテンポやタイミングがずれると滑稽なコミックショーや八百長と罵声を浴びる不自然な試合運びになってしまうわけです。スポーツは強い者が勝つ絶対法則が存在してますが、プロレスは強いと感じさせる者が勝つショーです。

無論、同じパターンでは飽きられますから様々なストーリー展開を考え、今日はAパターンでCの勝ちと意外性を持たすのも常套手段です。最近はファンの目も肥えてきていますし、斜眼ファンも多くストーリー作りには苦労します。裏の裏を読んだつもりでもファンには不評を買い、墓穴を掘るというパターンがどこもが抱える共通の悩みだと思いますね。

これまでチャンピオンが交代する筋書きで多く使われてきたのに技を失敗(自爆)するパターンと一瞬の返し技という二大パターンがあります。このストーリーだと実力でチャンピオンが負けたわけでない、不運だったという同情心が生まれます。次のリベンジ戦には格好の「エサ」です。これにファンは食いついて会場に足を運んでくれます。

この筋書きですと相手選手の商品価値も下がらないという利点もあります。つまり何回でも起用できるというリサイクル効果満点です(笑)。高いギャラを取っていた外人選手を息長く使うシナリオで発案されたのが最初だったと聞いています。

ボボ・ブラジルが自爆の結果、ロープに首が巻かれ、それを外そうと必死にもがくがやがて無情のカウントアウトで敗北…そのリングで半失神状態で倒れていた馬場の腕を上げレフリーが勝利宣言…最高の名シーンだったと思いますね。

ストーリーの主軸はもう何年もそうですが「遺恨」というのが根幹ですね。対立する反主流派のグループを作り主流派VS反主流派という対立抗争勃発という筋書きです。そのストーリーを色々と膨らませ、ファンの関心や興味を持続、継続させるのが目下の課題です。

新たな遺恨を作りストーリーに別の展開や厚みを持たせることができれば興行も続けられますが、試合の間隔が空きすぎたり、ストーリーを忘れてしまうファンも多いようです。

テレビ中継が無くなり、マスコミにも扱われなくなってはよっぽどのコアなファン以外、ストーリー展開は知らなくても仕方ないでしょう。ハッスルが失敗したのはいくつか理由があると思いますが、このストーリーに興味が失せた部分が大きいと思いますね。

筋書きを作る上でアマレス・スタイルのようにフォールして終了というワケにはいきません。パンチやキック、反則行為とどうしても観客をエキサイトさせる部分が必要不可欠です。そうしますとパンチで殴るという背景に遺恨(めいたもの)がある方が説得力があるわけです。

ただ、このパターンはさすがに刺激なり興味が半減し会場に足を運ぼうという魅力が薄れてきたのではないでしょうか? 観客が集まらない理由の一つだと思いますね。「遺恨」に代わる大テーマが見つかれば鉱脈を掘り当てたようなものですよ。それがないから人気が冷めたんだと思います。逆に言えばそのテーマが見つければ再びプロレスは再燃しますよ。

「遺恨」が遺恨でないのをファンも感じ取っているわけです。フェイクを一緒に面白がって共犯者として楽しむのがファンの姿でしたが、そのフェイクが陳腐すぎて楽しむより先に白けてしまったというのが、今の低迷するプロレス界の実情でファンの意見でしょう。レスラーは真摯に反省しなければいけませんよ。

ですから本当の遺恨もトラブルもないのに、狭いプロレス村で生きる我々が殺し合いのセメント勝負などできるはずがありません。みんなリングを降りればプロレス村の住民じゃないですか。ヘタをすると怪我ばかりか生命の危険すらあるわけです。大金を積まれても私はパスしますよ。読者も考えて下さい。見ず知らず、いや友だちとカネをくれるからって殺し合いができますか?
(次回ではセメントを中心について語ってもらう予定)




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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

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紹介文:門茂男主宰のユニオン元会員で、同氏には長年に渡りご交誼を賜った。ライフワークであった「ザ・プロレス365」の未発表を含む取材メモを見せて頂き、その要点を再構成した「門茂男メモ」と数名のプロレス記者から入手した情報をベースに記した昭和プロレスのテーマに迫ります。
ミスター高橋の「流血~」本で白日の下に暴かれたプロレスの実像ですが、単なる暴露もので終わるのではなく、門氏が追及したレスラーの人間性にまで同じように迫りたいという思いです。

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シンタロー

Author:シンタロー
プロレスのテレビ初観戦は小学生前の幼少期に祖父宅で見た力道山プロレス。その当時、一番印象に残っている試合は降参しないと足が折れると技の恐ろしさを足4の字固めで教えてくれたザ・デストロイヤーや、吸血鬼を連想させる噛みつきで相手を出血させるレスラーの怖さを知らしめたフレッド・ブラッシーよりも、幼心にはコミカルな妙技で笑い転げたミゼット・レスラーとのタッグマッチであった。それは祖母が馳走してくれた三ツ矢サイダーの味と共に脳裏に刻まれている。放送日の詳しいことは不明だが、昭和35年8月にミゼット・レスラー(名前は不詳)初来日の記録がある。テレビ観戦がその時期のどの試合であったかは今となっては調べようもないのが残念である。
一般総合雑誌・書籍編集者として多数のプロレスや格闘技関係の企画立案に参画し、馬場、猪木、大山倍達、木村政彦を始め多くのレスラーや格闘家を取材。プロレス界のご意見番・門茂男氏とは編集ジャーナリストの大先輩として長年に渡り公私ともども御交誼を賜った。お会いする度に未整理、未発表の「ザ・プロレス365」のラフ原稿を見せて頂き、同時に門氏が口頭で語った様々なある事件の真相や噂(裏付けが未確認)を氏の了解を得てノートにまとめ「門メモ」として所有する元ユニオン会員。

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